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2020.02.09

開き戸か?引き戸か?

室内の開口部は開き戸?引き戸?

室内の開口部(出入口)は大きく分けると開き戸(ドア)か引き戸になります。リフォームのご相談でいろいろなお宅に訪問する機会が多いのですが、圧倒的に開き戸(ドア)の方が多いです。これは一つには、お家の間取りの設計に関係しています。引き戸(片引き戸)の場合は、戸の引き込む側にも壁が必要になる為、事前にこれを踏まえた間取りの計画が必要になります。ドアの場合も、左右の開き勝手、内開きか外開きかの検討は必要になりますが、引き戸より容易に開口部の位置を決める事が出来ます。またコスト面から考えてみても、建具本体価格は引き戸の方が高い傾向にあり、施工性においても引き戸の方が手間がかかります。このような事からドアが主流になってきたのだと思われます。昔の日本家屋(和室)は引き戸が基本でしたが、戦後の高度経済成長期に住宅の量産化やデザインの西洋化も大きく影響したのでしょうね。


開き戸のメリット・デメリット

さて室内の出入口にドアが多い事は分かりましたが、住まう側の立場で考えてみるとどうでしょうか。
まずドアのいい所は?一番に挙げるとすれば気密性の高さでしょうか。引き戸に比べて密閉度が高いので音漏れが少なく遮音性が高いと言えます。ただ2003年にシックハウス対策が義務付けられて以来、24時間換気が必要になり、その換気方法によってはアンダーカットと言ってドアの下を1センチほど切り詰めるようになりました。こうなると気密性のメリットは半減してしまいますが、最近では通気しながら音漏れも防ぐ特殊なドアも出ています。次に冒頭でもお話しましたが、やはり引き戸に比べてコストが安い事が挙げられます。1か所だけであれば少額でもお家全体で考えるとお部屋の数だけ出入口がありますので、それなりの価格差になりますよね。

ドアのデメリットは?外開きの(ドアを押して開ける)場合、人がよく通る場所だと気付かずにドアを人にぶつけてしまう可能性があるという事。例えば、LDKの出入り口や廊下にあるトイレをドアにするとその危険度は上がりますし、階段の登り口や降り口は要注意です。またドアは開閉する為のスペースが必要で、そこには物や家具は置けないという事。

引き戸のメリット・デメリット

それでは引き戸のいい所は?何といっても開けっ放しに出来る事です。引き戸は開けている時に全く邪魔になりません。頻繁に出入りするお部屋や洗面所など普段開けっ放しで使いたいスペースにはぴったりです。また全開はもちろん、半分だけ開けたり、風を通したいから少しだけ開けたりと、開閉が自由で、ドアのように風にあおられてバタンと閉まる事もありません。またドアとは違い、扉を開けるのにスペースがいらないので、人がよく通る動線上でも安心して開閉できます。その為、コンパクトなお家やあまりスペースの無いお部屋の場合はドアよりも引き戸の方が使えるスペースが広くなる事が多いです。開け閉めの動作においても横に引くだけなのでドアに比べてとってもスムーズ。車いすに乗っての開閉などバリアフリーを検討する場合は引き戸がお勧めです。

引き戸のデメリットは?一番はやはり、戸の引き込みスペースの確保になります。引き込むスペースを考えると、ドアに比べて2倍の壁が必要になります。その為、間取りの設計段階からしっかりと引き戸を組み込んだ計画が必要となります。コンセント・スイッチの取付位置も同じことが言えます。戸を引き込むスペースが必要になるという事は、コンセント・スイッチの取付位置にも制限が出来るという事。ただこれも間取り同様、事前の計画をしっかり行えばデメリットとまではいかないかもしれませんね。

開き戸と引き戸、結局どっちがいい?

ここまで開き戸と引き戸のメリット・デメリットをお話してきましたが、結局のところどっちがいいの?という事になりますよね。人により考え方がいろいろあるかとは思いますが、今までのお客様とのやり取りを思い返すと、「引き戸の方が便利だわ。」という声が圧倒的に多いように感じます。何といっても開け閉めする際、場所をとらないというのが最大の理由ではないでしょうか。日本の住宅事情を考えるとより明確ですね。コンパクトなお家になればなるほど、場所をとらない引き戸の方が便利に感じます。という事で、基本は使い勝手の良い引き戸で、間取りの関係で引き戸が付けられなかったり、音が気になるような場合は開き戸に、といったところでしょうか。もちろんコストとのバランスもありますので、その辺も踏まえてじっくり検討したいですね。

下の写真は自宅2階の廊下の様子です。わが家は玄関等、外側の出入口以外、室内の開口部は全て引き戸にしています。写真手前から、階段の出入口、長男の部屋、長女の部屋、一番奥がトイレになります。引き戸の最大のメリット「開けっ放し」を地で行くオープンスタイルです!階段の出入口は夏場の冷房時、冷気が逃げないよう閉める以外、基本開けっ放し。長男、長女もお年頃ながら、寝るとき以外ほぼ開けっ放し。トイレも下手したら開けっ放し?!これがドアでしたら全開しても扉やドアノブの厚みだけ開口部が狭くなりますし、外開きにしたら危ないですよね。引き戸なら開けっ放しの状態でも、違和感なく部屋と廊下の空間が繋がっています。引き戸は基本は「開けっ放し」、必要な時だけ引き出して、仕切ればいい。そんな感じで生活しています。

開き戸 引き戸


まとめ

いかがでしたでしょうか。自宅を例にご紹介しましたが、「開けっ放し」の状態が引き戸の基本だとすると、開き戸は「閉まっている」状態が基本と言えるでしょう。普段の生活を思い返して、「開いている」状態が多いのか、「閉まっている」状態が多いのか考えると自ずと答えが出てきそうです。室内の開口部によってお家は住みやすくもなり、住みにくくもなってしまいます。ベルズとしましては、基本は引き戸をお勧めしていきたいと思っています。今回お話しました事を参考にもう一度お部屋の開口部の事を考えてみてはいかがでしょうか。