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2021.10.25

日差しをコントロールして快適空間に!

日本では古くから、庇や植栽、障子やすだれといった、さまざまな工夫により日差しをコントロールする方法が用いられてきました。日差しを調整する方法は敷地や建物の方角、周辺の建物の状況により適切な方法がそれぞれ異なってきます。近年、住まいの快適性や省エネ化を図るために断熱リフォームが注目されていますが、壁や床の断熱性能に加えて大切になるのが日差しの活かし方です。夏の日差し、冬の日差しをそれぞれうまく活かせるかどうかで住まいの快適性は大きく変わってきます。そこで今回は日差しのコントロールについてお話したいと思います。

日本の住まいで、古くから日差しをコントロールする存在として用いられてきたのが窓の上の庇(ひさし)です。南の日差しが差し込む角度は季節によって異なり、日本の場合、夏至の南中時は約80度、冬至の南中時は約30度です。このような季節による日差しの角度の違いを生かしたのが庇なのです。夏の日差しは庇によって遮蔽し、冬の日差しは室内に取り込むことができます。南の日差しをコントロールするためには、窓の高さの3分の1程度の長さの庇を出すことが必要です。例えば高さ2m程度のリビングの窓であれば、外壁からおよそ70㎝程度の長さが目安になります。

南側に間口2.6mのワイドな窓を2か所設置したK様邸。その上には奥行き75cmの庇を取付けしっかり日差しをコントロール。


庇と合わせて考えたいのが、庭の植栽による日差しコントロールです。緑による日差しの調整も古くから日本で行われてきた方法のひとつとです。植栽は日差しのコントロールだけでなく、風や湿度の調整もしてくれます。ポイントは日差しの方向を考慮して建物の南側と西側には落葉樹を、北側には常緑樹を植栽します。落葉樹は夏に南から西にかけての厳しい日差しを遮り、冬は落葉する為日差しを取り込みます。日差しのコントロールからは話がそれますが、参考に北側に植えた常緑樹は冬に北側の冷たい風を遮り、建物を冷やさない効果があります。

南側に大きなコナラの木を植えたベルズハウス。大きな葉っぱが夏の強い日差しを遮ってく入れます。


庇を取り付けたり植栽を計画するのはちょっと大変。もっと手軽な方法は無いの?そんな方にお勧めなのは“外付けシェード”や“外付けブラインド”があります。外付けシェードは外壁や窓枠などに設置したボックスからロールスクリーンのようにシェード生地を引き下げて必要に応じて日差しを遮ります。カーテンを選ぶ感覚で外観に合わせて色やデザインを選べます。外付けブラインドはルーバーの上げ下げと角度で日差しをコントロール。また外からの視線や通風も調整でき、雨戸のように 防災・防犯に役立つものもあります。

外付けブラインド「ブリイユ」。ルーバーの角度調整で光や風をコントロール出来ます。


窓ガラスに目を向けてみます。今や住宅の窓サッシのスタンダードになりつつある複層ガラスですが、Low-Eガラスという金属膜をコーティングしたガラスがあるのをご存じでしょうか。そのコーティング面が室内側か室外側かによって日射を取得するか遮蔽するかの2タイプに分かれます。冬場に太陽の暖かさをたっぷり取り込みたい南向きの部屋には“日射取得型のガラス”を、厳しい西日が差し込む部屋には“日射遮蔽型のガラス”で強い日差しをシャットアウトします。このようにその窓に遮熱効果が必要なのか、室内に日差しを取り込みたいのかを考え、適切なガラスを選択することでガラスによって日差しをコントロールする事が可能です。

ベルズ事務所のコーナー出窓。 日射取得型のガラス でたっぷりの太陽光を取り込みます。


下の写真はベルズハウスのリビング掃き出し窓です。プリーツスクリーンといってハニカム(蜂の巣)構造のシェードによる断熱効果で夏は強い日差しをカットし、冬は冷気の侵入を防いでくれます。ロールスクリーンのように生地を上下に昇降させることで、外からの視線と光の調光を行います。通常ロールスクリーンの場合、光を採り込むために生地を上に上げてしまうと、下部は外から丸見え状態になってしまいますよね。そんな時プリーツスクリーンなら下部は下ろしたまま上部だけ開けてあげれば、光を取り込みつつ、プライバシーを確保できます。さらにワンコが外を眺めたいときなどは、雪見障子のように下部をちょっとだけ開けるなんて使い方もできます。

自由自在にスクリーンを上下させることにより、外からの日差しと視線をコントロール。


いかがでしたでしょうか。冒頭でもお話しましたが、日本では古くから、庇や植栽、障子やすだれといった、さまざまな工夫により日差しをコントロールする方法が用いられてきました。近年、住まいの省エネ化や断熱性能が重要視されるようになり、再びこうした方法が見直されています。省エネ・断熱リフォームを検討する際は、是非とも日差しのコントロールを活用して効率よく快適空間を手に入れましょう。