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2020.01.17

使い込むほどに味わいが増す無垢フローリング

経年変化する無垢フローリング

住宅リフォームの動機で常に上位にランクインする「経年劣化」。水まわり設備に始まり、お家の内装、外装、全ての箇所に置いてこの「経年劣化」がついてまわります。多くのものは使い始めが最も美しく、月日が経つにつれて劣化していきます。室内のフローリングも同じで、複合フローリングと呼ばれる合板の床材は年数が経つと表面の突板(薄い木目の層)が剥がれてきたり、貼り合わせた合板自体が剥離して、床がふかふかしたりと劣化していきます。そこで今回は使い込むほどに風合いが増し、劣化しない無垢フローリングの経年変化についてのお話です。

色味の変化

無垢の木は、新品が一番きれいでだんだん汚れていく素材ではなく、使い込んで時間が経つほどに魅力を増していきます。その経年変化の代表的なものとして、美しい色の変化が挙げられます。10年間全く同じ色をしている無垢材はありません。色濃く変化していくものもあれば、少しづつ明るくなるものもあります。昨年完成しました我が家もラオス松という無垢フローリングを採用しました。まだ1年も経っていませんが、最初に比べると若干色が濃く、赤身が強くなったように感じます。逆にダークブラウン色のウォールナットは、数年経つと全体的に明るく、穏やかな色へと変化していきます。またチークは、最初はシミのような模様や黒いスジがありますが、時間の経過とともにムラが穏やかになり、シミやスジが薄れ整った印象になります。このように無垢材は、樹種ごとに異なる色味の変化を経て風合いが増していきます。

年数が経つにつれ色が濃く深く変化していく我が家のラオス松の無垢フローリング

味わい深いキズ

さて次はキズに関してです。どんなものでもいずれは傷がついてしまうものです。特に床は生活する中で傷は避けられませんよね。それでは一般的な合板のフローリングと無垢フローリングの傷は何が違うのか。それは「見え方」です。一般的な合板のフローリングに傷がつくと、傷の深さによっては中の合板が見えてしまう事があります。しかし無垢フローリングは1枚の板そのものである為、傷の深さに関わらず、色味や素材が変わる事がありません。また合板フローリングの傷は一度ついてしまうと再生しませんが、無垢フローリングの場合、多少のへこみ傷なら水に濡らすだけで元に戻ったりします。またその他の傷に関しても、紙やすりで表面を削ったりと、補修可能です。その昔、子供の背丈を測る為、柱に傷を付けていきました。少しずつ増えていく柱の傷は子供成長の証であり、家族の歴史でもありました。何年も経ってからその傷を見ると、懐かしさがこみあげて指でそっと撫でてしまうかもしれませんね。先ほどもお話しましたが、無垢材の傷はそこで暮らす人々の歴史そのものなんですね。

自然な美しいツヤ

削りたての無垢フローリングは、淡い色をしていたり、色ムラが現れたりと、どことなく初々しい表情が特徴的です。しかしそれは最初の内だけ、無垢フローリングは使い込むほどに表面が摩耗され、自然なツヤが生まれてくるからです。歩く事、乾拭き掃除を繰り返す事、メンテナンスする事、日々のそうした行動の繰り返しが、深みのある自然な美しいツヤを作り出すのです。例えるなら使い込むほどに自らの手に馴染み、味わい深いツヤが生まれる革製品と似ていますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。時間の経過とともに色の美しさが増し、傷さえもご家族の歴史となり、お手入れする事で愛着が生まれる無垢フローリング。新品のデニムよりもヴィンテージデニムの方が高い価値であるように、フレッシュな味わいのワインが年月を重ねるほどに熟成し芳醇な味わいとなるように、無垢フローリングも経年で表情が味わい深くなっていく素材です。10年、20年と床を育てていく、そんな感覚で無垢フローリングと過ごしていくのも楽しいかもしれません。