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2020.01.11

ラワンベニヤで囲まれた空間

我が家の建具・家具類は全てラワンベニヤで出来ています。そもそもベニヤとは?丸太を桂むきにして切り出した1枚の板をベニヤ板と呼び、それを木の向きを直交するように重ね合わせて接着したものがベニヤ合板と呼びます。つまり一般的にベニヤと呼ばれるものは厳密にいうとベニヤ合板という事になります。その材料がラワンならラワンベニヤ、シナならシナベニヤとなりますが、ベニヤと言えばほぼラワンベニヤと言っていいほど、ラワンのイメージが定着しています。

出入口の引き戸に始まり、キッチン、収納の扉、家中ラワンベニヤを仕上げ材として使っています。


またラワンという木材に注目してみると、一昔前はまだ安価な木材だった為、昭和世代の方には馴染み深いと思いますが、室内の窓枠やカウンター、外回りでいえば、窓の格子や、破風板など、お家のあちこちによく使われていました。昭和の建築建材の代名詞と言ってもいいかもしれませんね。そんなラワンも近年価格高騰が進み、建築資材としての下地合板もラワンから針葉樹合板(ラーチ合板)やOSB合板(木のチップを互い違いに重ねて積層したもの)などに変わりつつあります。ただ化粧の仕上げ材としてみればまだまだ安価であり、可能性を感じる材料です。

一般的に下地として使われるラワンベニヤですが、その仕上げ方法は?そのままですと表面はザラザラでささくれ立っていますので目の細かいサンドペーパーで表面をならして自然塗料で着色していきます。今回自宅ではドイツの「リボス」という塗料を採用しました。亜麻仁油を主成分とした浸透性のオイル塗料で、ウレタン塗料のように表面に膜を張るのではなく、内部に深く浸透し、木の表面の質感を生かした仕上げになります。健康に気を使った材料である事はもちろんですが、塗料が浸透して着色されるので、ムラなくどなたでも簡単に塗装できるのが魅力です。

ここでラワンベニヤを採用する際の注意点です。ラワンベニヤはあくまでも下地材。通常は見えない部分に使われる材料です。その為、きれいな赤身の材料が揃えにくく、お家全体で色味を合わせるという事が難しいです。近年では赤身の数が減少し、白身のベニヤが主流になってきています。先ほどお話しました仕上げの塗装ですが、同じ色で着色した場合でも、赤身のベニヤがダークブラウンに仕上がったのに対し、白身のベニヤはミディアムブラウンに、といった具合にベニヤによって仕上がりが変わってしまいます。これを踏まえてベニヤの種類によって塗料の色味を変えてあげるという事も考えられますが、これもなかなか技術がいり、お家全体で考えるとかなりの労力に・・・この色味の違いを許容できる方でないとベニヤ仕上げは厳しいかもしれません。ただこの色味のばらつきも、考え方によっては「味」です。無垢のフローリングとも相性が良く、我が家の内装のアクセントにもなっています。こんな経験から最近ではホームセンターに行った際、きれいな木目のラワンベニヤを目にすると、「あ~きれいな色のベニヤ板だなぁ~、買い置きしておかなきゃ!」と一般の方とは違った視点でベニヤ板を見てしまいます。(笑)

今回ラワンベニヤを採用して感じたのは、何といっても新建材にはない素朴で優しい雰囲気です。新築でありながらいい意味で新しさを感じさせず、何とも居心地のいい空間を演出してくれます。無垢フローリングと同様に経年による色味の変化も楽しみの一つです。今後機会があれば、建具や扉だけではなく、天井や壁の仕上げにも挑戦したいと考えています。住宅建築の巨匠、吉村順三さんもかつてラワンベニヤを天井の仕上げ材として積極的に使われていました。そんなラワンベニヤの魅力を今後も研究していきたいと思います!