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2020.09.14

ハーフユニットバスとは?

ユニットバスの歴史

浴室のリフォームと言えば、ほとんどの人はまずユニットバスを思い浮かべると思います。
工場で生産された天井、壁、床、浴槽、水栓金具などを現場で組み立てるものです。
マンションではほぼ100%、戸建て住宅でも60%以上がユニットバスという事で、今後も増え続けると予想されています。
これだけ普及したのはやはり、施工性の良さ、工期短縮等による低コスト化や、防水の安全性が挙げられます。

そんなユニットバスですが、実は日本が発祥で、1964年の東京オリンピックで一気に普及したと言われています。当時、日本初の17階建て高層ホテル「ニュー-オータニ」はオリンピックの開催に合わせ工事期間をわずか17カ月で完成させなければなりませんでした。その時工事に携わったのがTOTOでセミキュービック方式という工法でユニットバスを開発しこの難題を解決しました。

初代ユニットバスルーム(ホテルニューオータニ) 画像提供TOTO
 


ホテルから始まったユニットバスは、浴室、便器、洗面器と言うスリー・イン・ワンタイプの洋式で、今でいう3点ユニットバスでした。
当時は一般住宅に内風呂が普及してきた時期でもあり、1960年代半ばからは一般住宅での使用を考慮し、浴槽の外で体を洗う日本人の習慣に合った和式システムバスが普及していきます。

ユニットバスの普及率が向上するに伴い、量産体制の対応、多品種、システム化、デザイン性が求められ、更に最近では高齢者社会の到来に備えバリアフリー化(低床)やヒートショックを防止する蓄熱性を持った床、省エネ対応から「高断熱浴槽」、家事の省力化のための汚れがつきにくい材質の開発など、様々な進化が遂げられています。

ハーフユニットバスとは?

さてユニットバスの誕生から近年の進化をお話しましたが、ここから本題のハーフユニットバスについてです。ハーフユニットバスとは読んで字のごとく、半分ユニットバスという意味で、下半分だけユニットバスになります。
防水性能が重要な浴槽、床、壁の下部にはユニットバスの部材を使い、天井、壁、水栓金具、ドア等は好みの素材、デザインで造作するいう、いいとこどりのお風呂です。

ハーフユニットバス
十和田石を使った在来工法の浴室。BELLS HOUSE(自宅)
 

上の写真は在来工法による浴室です。天井は杉板、壁と床は十和田石、浴槽はヒノキと、好みの素材で造作したオリジナル浴室です。ユニットバスとは異なり一から作りこんでいく為、多くの職人が関わり工期も費用もかかりますが大きさなどの規格も無く、デザインの自由度も高いので出来上がった時の満足度は格別です。
先日、BELLS HOUSEのオープンハウスにいらしたお客様がこの浴室を気に入っていただき、全く同じ仕様でハーフユニットバスで工事させていただいたのが下の写真です。杉板や十和田石の質感や雰囲気はそのままに、ハーフユニットで工期を圧縮、コストを抑える事が出来ました。

ハーフユニットによる十和田石の浴室
ハーフユニットによる十和田石の浴室
 

ハーフユニットバスのメリット

このようにハーフユニットバスならユニットバスの持つ防水性を確保しつつ、在来工法のような自由な内装の仕上げが可能になります。また仕上げだけではなく、窓や開口のとり方、天井の作りなど自由にできる為、プランの柔軟性がとても高まります。例えば階段の下を浴室にしたい、マンション特有の複雑な梁をさけてお風呂を組みたい等、在来工法でないと対応できないようなケースにも有効です。

壁を木材で仕上げた浴室 画像提供TOTO
壁を木材で仕上げた浴室 画像提供TOTO
 

壁や天井を自由に作れる、というメリットを生かして壁全体に木材を貼って仕上げると、さながら温泉のような浴室になります。木の香りに包まれながらの入浴はやはり気持ちがいいですよね。照明の位置をぐっと下げてあげると居心地が一段と高まります。

ハーフユニットバスのデメリット

いい事ばかりをご紹介してきましたが、デメリットもあります。
一番のデメリットはコストが高くなるという事です。先ほどお話しました在来工法との比較であればハーフユニットバスに軍配が上がりますが、ここではユニットバスとの比較です。通常の既製品のユニットバスは、天井、壁、水栓、シャワー、照明、ドア、換気扇など全てセットになっていて、現場で組み立てるだけで完成します。
一方、ハーフユニットバスは、既製品は浴槽と床だけです。それでもこの時点でコストはほぼ同じくらいかかります・・・(涙)これはハーフユニットバスはほぼ一体成型で受注生産品。しかも工場でかなり手作業が入るオーダー品に近い物なので、在庫の部品を組み合わせて作るユニットバスと比べるとどうしても高くなるんですね。

もう一つ、これはデメリットというか、我々施工側のお話ですが、壁やドアとの取り合い部分などの防水です。普通のユニットバスに比べて一体成型で床と壁に継ぎ目が無い分、ユニット自体の防水性能は高いのですが、造作していく部分はこちらで防水を検討する必要があります。この辺りは経験によるところが大きく、手間がかかる分コストアップにも繋がってしまいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。コスト的なデメリットはありますが、毎日入るお風呂は体を洗うだけではなく、一日の疲れを癒す空間でもあります。温泉のような木のお風呂や石貼りのお風呂、憧れますよね。例えコストが上がってしまっても毎日の気持ちよさから得られるものって大きいですよね。
ユニットバスだとちょっと物足らないけど、在来工法で一から造作するには時間もコストも・・・という方。ユニットバスと在来工法のちょうど中間に位置付けされるハーフユニットバス。お風呂にこだわりたい方は是非ご参考に。