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2024.03.23

造作キッチン

ベルズでは現場の状況やご予算にもよりますが造作キッチンを採用する事がよくあります。造作キッチンとは、大工さんが現場で造るキッチンで、そこにコンロやシンク、水栓金具、食洗器などの設備を設置して完成させます。自由に面材やカウンター材を選ぶことが出来るだけでなく、そこに設置する設備器具も何を選んでも構いません。簡単に言えば「自分で自由にカスタマイズできるキッチン」です。

対してシステムキッチンとは住宅設備メーカーが製造するある一定の規格サイズで販売されているキッチンです。パナソニック、クリナップ、リクシル、タカラ・・・とたくさんのメーカーが各社それぞれ特色を打ち出し、お手入れのしやすさや、使いやすさ、機能性等にこだわったキッチンを販売しています。そんな中、なぜあえて手間のかかる造作キッチンを採用するのでしょうか。

一昔前はキッチンと言えば、お家の北側に配置され、リビングとは分離している間取りが多かったですが、近年ではキッチンとダイニングが繋がり、さらにリビングと一体化した間取りが主流となりました。単独で配置された設備機器という位置づけだったキッチンが、最近はダイニング、リビングと続く空間の中で、食器棚やチェストと同様に家具としての要素を持つようになりました。そうなるとLDKをひとくくりの空間でみた場合、システムキッチンでよくある鏡面のツヤツヤの扉や(最近では艶を抑えた木目の扉も多く見かけるようになりましたが)既製品の取っ手ですとどうしても違和感が出てしまいます。部屋中全ての扉を統一する必要はありませんが、ダイニングやリビングの家具との調和は意識して素材感は合わせたいところです。



ダイニング側の収納と一体となった対面キッチン。背中側のカップボードはもちろん、ダイニングテーブル横の収納も扉を合わせて一体感を演出。



こちらのキッチンの扉は天井と同じラワン材。内装材と素材を合わせるのも面白いですね。


さて意匠性の面でのお話をしてきましたが、造作キッチンを採用するのにはもう一つ大きな理由があります。それは規格サイズのシステムキッチンでは対応が難しい大きさや、変則なレイアウトのキッチンでないとおさまらない場合です。近年お客様のライフスタイルも多様化し、ご要望も多岐にわたるようになりました。そんなご要望一つ一つにお応えするにはシステムキッチンではサイズや形に制約があり役不足。ところが造作キッチンは完全カスタマイズの為、お部屋の間口に合わせてピッタリサイズで作るのはもちろん、天板の高さや奥行も使い勝手にあわせてミリ単位で自由に変更できます。


こちらはⅡ型キッチンです。ダイニングに対して対面型にしたいのですがI型のキッチン(シンクとコンロが一直線)を配置するには間口が足りない為、シンクとコンロが別々のⅡ型を採用。コンパクトながら対面化を実現し、収納もしっかり確保。カフェ風の雰囲気を演出する為、扉は杉の足場板に。造作キッチンならではですね。



こちらは階段下にキッチンを配置したケースです。コンロ前が直線階段の為、オープンキッチンを大きく切り欠いています。またレンジフードの上も階段が続いているので天井を一段下げておさめています。もちろんカップボードもキッチン同様造作で和のテイストに馴染んでいます。



こちらのキッチンは厨房機器を組み合わせたプロ仕様のキッチンです。飲食店を営まれている奥様のご要望で高カロリーのガスコンロに業務用の食洗器を組み込みました。細長いお部屋に合わせた4m×1.8mの変則L型キッチンは圧巻です!



こちらは6畳のお部屋いっぱいに作ったコの字型キッチンです。専業農家の奥様のご要望で食材、調理器具等、すぐ取り出せるように収納はオープンに。特にコーナー収納はデッドスペースなりがちですが、ここだけ奥行きを浅くして中のモノを取り出しやすくする工夫も。また小柄な奥様でも手が届くよう吊戸棚の高さは低めに、その下の収納カウンターもキッチンよりも奥行きを浅くしています。


いかがでしたでしょうか。一昔前は北側のお部屋に影を潜めていたキッチンですが、今やLDKの中心的な存在に。ダイニングテーブルやリビングソファ同様に家具の一つとしてその存在が定着してきました。お気に入りの素材やデザインにこだわり、お部屋のインテリアに合ったオンリーワンのキッチンを作ってみるのも楽しいですね。とはいえ、毎日使うキッチンですので見た目だけではなく使い勝手にもこだわりたいところ。システムキッチンでは実現できないような細かいご要望にもしっかり対応できるのも造作キッチンの魅力です。皆さんも一度検討してみてはいかがでしょうか。