【受付時間】9:00〜18:00(定休日曜・祝日)

BELLS LETTER Vol.28発行しました!

WRITER
 
この記事を書いている人 - WRITER -

雑木林の庭

前回から引き続き、自宅新築工事の続編です。建物本体工事が完了し、引っ越しを終えて1か月ほど経った5月中旬から造園工事が始まりました。およそ1か月の作業期間を経て梅雨時期真っただ中の6月中旬に完成しましたが、今回はその時の工事のリポートです。建物全体のコンセプトはズバリ「雑木林の中の山小屋!」家全体が緑に囲まれた風景をイメージして工事を行いました。前号でもお話しましたが、わが家の敷地は南東に視界がひらけており、その南東の角には1階はお客様との打ち合わせスペース、2階にはリビング・ダイニングを配置しています。どちらの部屋からも窓越しに緑あふれる景色が楽しめるよう計画しました。特に2階からの眺めを意識し、バルコニーは壁を作らず落下防止にワイヤーを張っただけの手すりとし、リビングの掃き出し窓からはシースルーで外に繋がります。将来的に建物の南東角がすっぽりと緑に覆われるよう、建物全体の高さも低くしました。一般的なお家の天井高は2.4mですが、わが家は20cm下げて2.2mに。圧迫があるのではと思われますが、2階には吹き抜けもあり、低さは感じません。

緑囲われグッと雰囲気が良くなった事務所の玄関まわり

 

緑で覆うといってもやみくもに木を植えるわけではありません。日差しを取り入れたいところには落葉樹を、目隠ししたいところには常緑樹をといった具合にバランスよく植栽を配置していきます。落葉樹は夏の日差しを遮り、冬には葉を落として日向を作ってくれるのでエアコン等の設備に過度に依存しない快適な住環境を作ってくれます。住宅を計画する際、建築の工夫だけでは対処が難しい状況の場合には、こういった植栽計画も視野に入れたいですね。ちょっと話が横道にそれてしまいましたが、それでは造園工事を順を追ってご説明します。まずは敷地内で一番広い駐車スペースです。駐車場というと真っ先に思い浮かべるのが土間コンクリート。ただ雑木林にコンクリートはありませんし、景観以外の観点からも近年問題になっているヒートアイランド現象による大気の高温化、集中豪雨による排水処理問題など、地面はなるべく土を残したいと考え、石を敷き詰める事にしました。大小さまざまな大きさ、厚みの石を一つ一つ地面に据えていきます。使う道具はスコップのみ。メジャーや水平器も使わず土地の形状(勾配)をみながら経験と感覚を頼りに作業していきます。表面に見える部分だけではなく、地面に埋まる部分(不揃いな石と石がうまくかみ合い動かないように設置)にも注意を払います。普段建築現場でミリ単位の仕事をしている自分にとって、メジャーも使わず、経験と感覚だけで行っていく作業を目の当たりにして衝撃を受けるとともに、その仕上がりに感動しました!

気の遠くなる作業ですが、石のくせを確認しながら一つ一つ丁寧に据えていきます。

 

駐車場の石の工事と同時進行で枕木も据えていきます。道路から玄関へのアプローチに敷き詰めていくのですが、こちらの作業もダイナミックです。もともとこの枕木は国内の鉄道で実際に使われていたもので、ケンパスと呼ばれる硬くて耐久性の強い木材でできています。防腐剤が注入されており、かなり臭いがきつかったですが、チェーンソーでぶった切り、土で高さを調整しながら据えていきます。中古枕木は新品にはないアンティークな風合いが漂い、味のあるアプローチに仕上がりました。さてお次は玄関ポーチの製作です。もともと建物の基礎の一部としてコンクリートでできているものにひと手間かけます。一般的には仕上げにタイルを貼る事が多い所ですが、今回はモルタルで仕上げていきます。洗い出しという工法で、一緒に練りこんだ砂利がうっすら表面に浮き出てくる仕上げです。無機質なモルタルが柔らかい印象に。枕木や石との相性もGOODです!

砂利を練りこんだモルタルで一度キレイに仕上げます。

 

半乾きの状態で水をかけて表面を刷毛でこすると細かい砂利が浮き出てきます。

 

きっちり仕上げるのではなく柔らかい風合いを大切にします。

 

駐車スペースの石畳とアプローチの枕木が終わったらいよいよ最終段階、植栽の植え込みです。高木→中木→低木の順に植え込んでいきます。まずは高木。高木は庭の印象を大きく左右する重要な要素なので、冒頭でもお話したように庭を眺める場所からの見え方などを確認しつつ慎重に植えこんでいきます。ダンプで搬入された十数本の高木ですが、職人二人でわずか一日で所定の位置におさまっていきました。ここまで行ってきた石や枕木の工事が3週間ほどかかっていましたのでこのスピードにはちょっとびっくり!職人に尋ねると「木は生ものと同じだからね、鮮度が命。枯らしてしまったら死活問題でしょ!」との一言。納得!この後中木、低木の植え込みに入っていきます。高木はあらかじめ配置を決めていましたが、中木、低木はバランスをみながら現場で検討しながら配置していきます。高木が配置された時も迫力に圧倒されましたが、中木、低木にはまた違った感動がありました。中木、低木が配置されていくと庭の景色というか表情がどんどん良くなっていくんです。まるで職人がマジシャンのように。こうして絶妙なバランス感覚とセンスが光る作業で庭全体に彩を添えていきます。さて作業していく中で目にする剪定。従来から一般的に使われていた仕立て物と呼ばれる樹木は、出来上がった時が完成形で、その形を剪定で維持していきます。一方、今回の雑木の庭で用いる自然樹形の樹木は、成長速度の異なる木々のバランスを剪定で調整しながら変わっていく風景を楽しむスタイルです。枝先を切りそろえ丸く刈り込んでいく従来の剪定ではなく、重なり合っている枝を付け根から切り取る「透かし剪定」と呼ばれるやり方で剪定していくのだと教わりました。枝の途中で切ってしまうとブツ切で人工的になってしまい、切り口から不自然な小枝が生えてくるようになるとの事。普段の水やりも含めて庭とのかかわり方をいろいろ話してくれました。

まだ緑に囲われるといったイメージとはほど遠い状況ですが、木々の成長を楽しみながら庭づくりをしていきたいと思います。

 

こうして一か月にもおよんだ造園工事が無事に完了しました。ただちょっと気になるところが。まだ高木の高さが足りず、2階が丸見え・・・。建物が低いといっても5m位の高さが無いと外からの目隠しにはなりません。南側には高いもので4mほどありますが、そうでないものも。植栽は4mを超えると価格が一気に跳ね上がるのだとか。予算が追い付かず仕方がないのですが・・・。ただいきなり完璧を求めてはいけません。木が成長して大きくなっていく様を見るのもまた楽しみの一つ。石畳にまいたグランドカバーのダイカンドラも気になるところ、建物同様に経年変化を楽しみたいと思います。庭ができてから朝夕1日2回の水やりが日課となりました。庭仕事をしていると近隣の方々ともコミュニケーションがとりやすく庭を作って良かったなぁと感じる今日この頃です。

 

 

見えないこだわり

前回から2回に分けて自宅工事をご紹介してきましたが、ここでは完成後にはわからないBELLSのこだわりをご紹介したいと思います。ベルズレターVol.25でもお話しましたが、家の性能として挙げられる3大要素として「耐震性」「断熱性」「耐久性」があります。耐震性、断熱性はお話しするまでもなく、国が定めた基準以上をクリアーした内容で設計しています。(※断熱性に関する省エネ基準は義務ではなく目安、2020年に義務化が予定されていましたが、業界の認識やコストの問題などから先送りが決定しました。)今回お伝えしたいのは「耐久性」です。耐久性=結露対策!木造住宅にとって結露(水)は大敵です。長らくリフォームの仕事をしていて、お悩み相談で多いのがこの結露でした。特に冬場に多い窓の結露や北側の壁に発生するカビなど、建物だけでなく健康にも大きく影響します。表面に出ていればいいのですが、怖いのが壁の内部結露です。壁に入り込んだ湿気が逃げ場を失い蓄積され、ひどい場合は壁の下地を腐食させてしまします。こんな場面を目の当たりにしてきましたので自宅を建てる事があるなら「絶対に風通しの良い家にしよう!」と心に決めていました。風通しの良い家といっても、部屋の中の風通しではありません。もちろん、これはこれで非常に重要な事で、部屋の形状、間取り、窓の位置は風の抜けを考慮して設計しました。今回お話しする風の抜けとは、屋根の中、壁の中を空気が流れる「通気工法」の事です。

まずは1枚目の野地板(屋根の下地板)を貼ります。通常はこの上に防水シートを貼って屋根材を葺いていきます。

 

次にこの野地板の上に等間隔に桟を固定していきます。この桟と桟の間を空気が流れます。

 

さらにこの桟の上に2枚目の野地板を貼ります。

 

2枚目の野地板の上に防水シートを貼ります。

 

ガルバリウム鋼板の屋根を葺いて完成!見た目は変わりませんが手間は倍かかっています。

 

片流れの屋根の一番下から入ってきた空気が屋根の下を通って一番高い棟の通気口から抜けていきます。

 

屋根・外壁共に二重構造にして、その隙間を空気が流れるようにします。すると建物全体が空気の層で覆われ、外部の暑さや寒さを防ぐとともに、湿気や結露を建物から放出させます。また外壁の下地材(モイス)、断熱材(セルロースファイバー)は共に通気する建材なので室内の湿気も外壁を抜けて外へ放出される構造になっています。従来の外壁の下地材(ベニヤ合板)は通気しないので室内の湿気が壁に入り込むと内部結露を起こしてしまいます。(※その為、室内の壁は防湿シートで覆うのですが、施工不良等により湿気が入り込んでしまうケースがあるんです。)またわが家の2階の外壁材には意匠性も兼ねて杉板を貼っています。断熱性という視点で考えると、無垢の杉板はそれ自体が空気を多く含んでいるので断熱材と言えます。つまり外壁は杉板・空気層・断熱材(セルロースファイバー)と三重の断熱構造と言えるんです!ただこの通気工法はきちっとした理論に基づき正しい施工を行わないと逆に内部結露を起こしてしまう非常に難易度の高い工法です。普段のリフォームではなかなか経験できない、また新築工事の初心者にとってはハードルの高い工事でしたが、何事も勉強!という事で「風通しの良い家」が完成しました。以上、完成後にはわからないBELLSの見えないこだわりでした。

 

外壁に貼ってある白いシートは透湿防水シート。湿気は通すけど水は通さない優れもの。屋根と同様に通気胴縁と言われる桟を縦に固定します。1階はモルタルの左官仕上げなのでこの縦桟に下地の網を貼ってその上にモルタルを塗っていきます。2階は杉板を縦に貼るのでこの縦桟の上にさらに横桟を固定していきます。この時、下から入ってきた空気が妨げられることなく抜けていくように施工するのが大変重要なポイントです!

 

2階の外壁に杉板を貼っている様子です。幅18センチの杉板を1センチの隙間を開けて貼っていきます。その隙間を4センチ幅の押し縁と言われる細い桟で塞ぎます。木は湿気や乾燥で伸縮を繰り返しますがこの1センチのクリアランスで吸収します。また万が一交換が必要になった場合にも1本単位で交換できメンテも楽!窓まわりはあえて空かして貼ります。雨は入る前提、入っても壁の隙間を流れ落ち、やがて乾燥していく計算です。

 

完成した様子です。矢印が空気の流れを表しています。空気の入り口は基礎の水切りの上からと、1,2階の壁の境目から。いずれも上へと流れていき、屋根とぶつかった所から抜けていきます。よく木は腐りやすいというイメージがありますが、それは濡れた状態が継続した場合です。濡れてもすぐに乾けば木は腐りません。また使う材料にもこだわりが。杉板は木の芯に近い赤身の材料を使います。赤身は脂分が多く耐久性が強いんです。また表面はつるつるに仕上げないで、あえてザラザラのラフな仕上げにします。ザラザラの方が表面積が大きくなり濡れても乾きが早くなるからです。

 

下から流れてきた空気が抜けていきます。雨が吹き込んでも下に流れてその内乾燥していきます。屋根の軒を出しているのは外壁に雨が当たらないようにする為。神社など昔の伝統的な建物はみんな軒が深いですよね。軒は雨から建物を守ります。何十年、いや何百年と外壁はほったらかし。そんな日本の建築技術を学ぶいい機会となりました。

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -

Copyright© リフォームのベルズ , 2019 All Rights Reserved.